省力化投資補助金(一般型)採択一覧7,684行を数えた|計画名に「レトロフィット」「後付け」は0件

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省力化投資補助金(一般型)採択一覧7,684行を数えた|計画名に「レトロフィット」「後付け」は0件

「レトロフィット」0件。「後付け」0件。「MES」0件。省力化投資補助金(一般型)の採択決定事業者一覧、第1回から第6回までの7,684行を数えた結果です。数えたのは、「事業計画名」にその語が入っている行の件数。この0件を「既存設備を活かす計画は通らない」と読むことはできません。計画名の文字列を照合しただけで、採...

「レトロフィット」0件。「後付け」0件。「MES」0件。省力化投資補助金(一般型)の採択決定事業者一覧、第1回から第6回までの7,684行を数えた結果です。数えたのは、「事業計画名」にその語が入っている行の件数。この0件を「既存設備を活かす計画は通らない」と読むことはできません。計画名の文字列を照合しただけで、採択率も採択理由もここからは出てこない。見えるのは、採択された計画がどんな言葉で題名を付けていたか、そこまでです。


KEY POINTS

項目内容
数えた対象中小企業省力化投資補助金(一般型)採択決定事業者一覧、第1〜6回の7,684行の「事業計画名」(行単位の合計。同一事業者が複数回に載っていればそれぞれ数える)
数えたもの計画名にその語が入っている採択行の件数。測定前に固定した42語と、後から足した参照用の9語
0件だった語7,684行のうち、「レトロフィット」「後付け」「予兆」「MES」が入った計画名は0件
この数字が語らないこと採択率、採択理由、計画の中身。応募側の計画名は公開されておらず、分母がない

数えたのは一つだけ:計画名にその語が入っている採択行の数

入力は、中小企業省力化投資補助金の公式サイトにある採択決定事業者一覧のPDF6本。測定日は2026年10月5日です。事業者名や所在地は照合せず、「事業計画名」の列に絞りました。

前回の記事で読んだのは第8回の公募要領、制度の側の文書でした。今回開いたのは結果の側の文書です。採択結果ページには、回ごとの申請数と採択数、採択者の一覧、結果概要が並んでいます。第6回なら申請数1,841、採択数1,176。一覧PDFの列は6回とも同じで、「エリア/都道府県/市区町村/事業者名/法人番号/事業計画名」。業種の列はありません。

手順は次の通りです。

  • 読み取り:PDFの表を行単位で抽出(PyMuPDFの表抽出機能)。セルの中で改行された計画名は、原文の順に空白を入れずに連結
  • 行数の検証:回ごとの行数は1,240/707/1,854/1,456/1,251/1,176。採択結果ページの採択数、結果概要PDFの合計と6回全て一致
  • 正規化:照合のときに限り、全角英数字を半角に揃え(NFKC)、英字を大文字化。「IoT」「IOT」は「IoT」と同じ扱いになる。計画名の原文は書き換えない
  • 一致の判定:かな・漢字の語は部分一致(「センサ」は「センサー」にも、「保全」は「予知保全」にも一致)。IoT・AI・DX・MES・ICTは、前後が英字でない場合に限り一致
  • 辞書:数える前に42語を固定。「既存を活かす系」「デジタル総称」「新規設備系」「半導体系」の4グループに分けた。集計結果を見てから足した9語は「事後追加」として別に示す
  • 誤検出の扱い:別の意味で一致した行も件数から除いていない。「既存を活かす系」と「半導体系」の語は、一致した計画名を全件、目で読んで規模感を注記した

入力は公開PDFだけで、処理にネットワークは使いません。同じPDFに同じ辞書を当てれば、何度実行しても同じ件数になります。


計画名に「レトロフィット」「後付け」「MES」は0件、「既存」は16件

「既存を活かす系」に入れた22語のうち、7,684行のどの計画名にも入っていなかったのは「レトロフィット」「後付け」「予兆」「MES」の四つです。

下の表の数字は全て「計画名にその語が入っている採択行の件数」で、第1〜6回の行単位の合計です。一つの計画名が複数の語に一致するため、語どうしを足しても意味のある数字にはなりません。

語全国(7,684行)九州7県(654行)熊本県(107行)
既存1610
レトロフィット000
後付け000
改造810
改良1410
連携11283
見える化1220
可視化2010
IoT76102
センサ2410
監視2141
モニタリング200
稼働3021
予知保全100
予兆000
保全1200
トレーサビリティ500
MES000
生産管理5021
一元管理3351
データ8373
遠隔2540

0件の語は、表記ゆれも確かめました。「レトロ」を含む計画名は0件、送り仮名のない「後付」を含む計画名も0件。全角の「MES」は正規化で拾える設定にしてあり、それでも0件です。

「既存」の16件は、読むと中身が割れます。設備やラインを指しているのは目視で4件。残りは「既存事業」「既存作業」「既存製品」「既存店」のような、設備以外の「既存」です。4件の計画名を原文のまま挙げます。

  • 第1回・岐阜県「IT技術と既存設備を融合させた生産ライン・報告業務の自動化」
  • 第1回・兵庫県「可動型ロボット導入と既存機械の改造及び接続による省力化の取組」
  • 第2回・京都府「既存製造ラインの省力化による生産性向上と賃上げの好循環形成」
  • 第5回・千葉県「自動ケージ洗浄機導入による省力化と既存設備稼働率向上」

固定した辞書には穴もありました。同じ意味の「既設」を入れていなかった。後から数えると全国で2件あります。第3回・京都府の「既設印刷機にインクジェットを搭載し、印刷工程の大幅な短縮実現」と、第3回・熊本県の「既設クラッシャー連動で省力化・高生産性を実現する重機導入計画」。事後に足した語なので、「既存」の16件には合算していません。

設備の監視や保全を指す語はどうか。「予知保全」が入った計画名は7,684行のうち1件(第3回・愛知県)。「トレーサビリティ」は5件。第1回から第5回まで各回1件ずつで、第6回は0件です。「見える化」は12件、「可視化」は20件。ただし「可視化」は、目視で9件が除雪、農業、エステ、外科手術など製造現場以外の計画でした。

「IoT」は76件あります。読んでみると、大半は「IoT搭載」「IoT対応」の設備を新しく入れる計画か、「IoT活用」「IoT化」という総称。今ある設備にIoTを後から付けると題名で明示したものは見当たりません。近いのは第1回・北海道の「目視からIoTへ。得意先エンジンオイルタンクをIoT仕様とすることで得られる営業業務省力化実現。」です。題名から読めるのは、得意先のタンクをIoT仕様にする計画だというところまで。自社の生産設備への後付けとは書かれていません。76件のうち目視でおよそ20件は、プール、コインランドリー、温浴施設、ゴルフ場など製造現場の外の計画でした。「センサ」の24件も、ほぼ全件がセンサー付きの機械・設備の導入を指していました。

表のほかの語にも、件数のまま受け取れないものがあります(以下の「目視」は読んで数えた概数で、件数は直していません)。「改造」8件のうち、自社の既存機械の改造を指すのは目視で3件。「改良」14件のうち10件は土木の「地盤改良」です。「保全」12件のうち設備保全は目視で3件で、「環境保全」「インフラ保全」が混ざる。「稼働」「連携」「データ」も、設備の稼働監視や装置間の連携、現場のデータに限った語ではありません。


計画名に並ぶのは、入れるものと得たい結果の言葉

7,684行のうち「導入」が入った計画名は2,764件、「自動化」は1,130件、「システム」は1,022件。辞書の外で後から数えた「省力化」は4,550件です。

グループ語全国(7,684行)九州7県(654行)熊本県(107行)
デジタル総称DX430478
デジタル総称AI508367
デジタル総称ICT264325
デジタル総称システム1,0228016
デジタル総称クラウド3321
デジタル総称ソフト3141
新規設備系導入2,76423640
新規設備系ロボット294152
新規設備系自動化1,1307512
新規設備系無人化2311
新規設備系省人化284142
新規設備系搬送6932
新規設備系検査307172
新規設備系新設4630
新規設備系増設1511
新規設備系更新2740
新規設備系入替200
半導体系半導体7472
半導体系ウェーハ200
半導体系電子部品300

この表は、誤検出を点検していない語が多い。全件を目で読んだのは、ソフト、クラウド、更新、新設、増設、無人化と半導体系の3語までです。DX、AI、ICT、システム、導入、ロボット、自動化、省人化、搬送、検査、入替は点検していません。「検査」には視力検査や血液検査、自動車検査など製造以外の検査が含まれます。「自動化」は「半自動化」にも一致し、にんべんの付いた「自働化」には一致しない。

「新設」の46件は、数字のまま受け取ると誤解します。うち38件は「最新設備」「新設備」の中の「新設」に部分一致したもの。ライン・工程・工場の新設を指すのは目視で8件でした。

下の9語は、辞書の外で後から数えた参照値です。集計結果を見てから足したもので、固定辞書の件数には合算していません。「省力化」は補助金の名称そのものの語で、他の語の件数を読む物差しです。「既設」は「既存」と同じ意味の語、「自働化」は「自動化」の表記違いで、どちらも固定辞書の取りこぼしを見るために足しました。「活用」は、今ある設備を活かす話が「既存」以外の言葉で書かれていないかを確かめるための語です。ただし「AI活用」「ICT活用」も含む総称で、既存設備の活用に限った語ではありません。「デジタル」は、デジタル総称の語群に入れていなかった語で、取りこぼしの規模を見る参照値です。「半導体製造装置」「地盤改良」「データセンタ」「新設備」は、固定辞書の語の内数です。

語(事後追加)全国(7,684行)九州7県(654行)熊本県(107行)
省力化4,55036959
自働化700
活用360345
デジタル235203
既設211
半導体製造装置2830
地盤改良1010
データセンタ500
新設備3830

ここまでの数字が映しているのは、「既存設備を活かす計画が少ない」ことではありません。計画名という一行に、今ある設備がほとんど書かれていないことです。題名に書かれているのは、入れるもの(設備、システム、ロボット)と、得たい結果(省力化、自動化)。既存設備に仕組みを足す計画であっても、題名は「システム導入による省力化」の形になり得ます。題名からその区別はつきません。


九州7県654行と熊本県107行の計画名

九州7県(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島。沖縄県は含めない)の採択行は6回で654行、うち熊本県は107行。654行のうち計画名に「既存」が入った行は1件で、設備を指す用法ではありません。

その1件は、第4回・鹿児島県の「既存事業の大幅な省力化による高度眼科治療・手術の増加と医院の成長」です。「見える化」は2件(第2回・佐賀県、第5回・福岡県)。「トレーサビリティ」「予知保全」が入った計画名は、九州7県にはありません。

「IoT」が入った計画名は654行のうち10件。並べると、題名の幅が分かります。

  • 第1回・長崎県「IoT活用で省力化を実現する次世代車検センター」
  • 第1回・熊本県「伝統雑節製造のIoT化による技術継承と省力化」
  • 第3回・福岡県「AI・IoT連携による次世代スマート検査ライン導入事業」
  • 第4回・福岡県「食肉加工現場の省力化とIoT活用によるDX推進事業」
  • 第6回・宮崎県「AI・IoT搭載設備でゴルフ場DXとインバウンド開拓推進事業」

車検、雑節、食肉加工、ゴルフ場。一覧は全業種の採択者を一本に並べたもので、製造業の名簿ではない。

熊本県の107行は、回ごとに20/10/29/16/12/20行です。題名にあった語から挙げると、107行のうち「導入」が入った計画名は40件、「システム」16件、「自動化」12件、「DX」8件、「AI」7件、「IoT」2件。「既存」「見える化」「可視化」は0件です。0件の語は他にもあり、熊本県の件数は先の表の熊本県の列に載せています。後から数えた「省力化」は59件、「既設」は先に挙げた1件。題名をいくつか、原文の表記のまま並べます。

  • 第1回「金型設備投資による製造工程改善事業」
  • 第1回「老舗豆腐工場が挑む!最適生産管理を実現するデータドリブン経営」
  • 第2回「完全無人化に向けたインドアゴルフ練習場のシステム改革」
  • 第3回「自動搬送型プレスライン構築による生産性向上」
  • 第6回「超精密 CNC 成形研削盤増設による省力化体制の構築」
  • 第6回「高速造型機導入よる省力化・生産性向上・人手不足の解消」(原文ママ)

金型、プレス、研削盤の隣に、豆腐とインドアゴルフが並びます。ものづくりの題名に目を移すと、主役はプレスライン、成形研削盤、造型機といった、入れる機械のほうです。今ある機械に触れた題名として辞書で拾えたのは、先の「既設クラッシャー」の1行でした。


「半導体」が入った九州7県の7行

計画名に「半導体」が入った行は、全国7,684行のうち74件、九州7県654行のうち7件、熊本県107行のうち2件。九州の7行は福岡県3、熊本県2、大分県1、宮崎県1です。

公募回所在地(一覧の記載)事業計画名(原文)
第3回福岡県 直方市自動化ロボットによる半導体部品の大規模な生産効率化と増産
第3回熊本県 菊池市半導体産業を下支えする精密加工装置架台でニッチトップ企業へ
第3回宮崎県 宮崎市高生産性マシニングセンタ導入による半導体部品製造省力化計画
第5回福岡県 柳川市半導体製造装置向け精密部品加工工程への省力化設備導入
第6回福岡県 北九州市八幡西区オーダーメイド設備導入による半導体製造装置部品の増産体制整備
第6回熊本県 熊本市東区半導体安定供給へ貢献!ロボット活用による自動化ライン構築計画
第6回大分県 佐伯市半導体製造装置用部材の高精度加工による付加価値向上

7行のうち3行は、題名に「半導体製造装置」と書いています。残りは「半導体部品」「精密加工装置架台」「半導体部品製造」「半導体安定供給へ貢献」。全国の74件も、目視では半導体デバイスのメーカーではなく、製造装置の部品加工を担う事業者の計画名が大半でした。後から数えた「半導体製造装置」は全国で28件です。

この7行に、「既存を活かす系」の語が同時に入った行はありません。題名に出てくる設備の語は、ロボット、マシニングセンタ、省力化設備、オーダーメイド設備。どれも新しく入れる側の言葉です。所在地は一覧の記載の通りで、本社なのか事業の実施場所なのか、一覧に説明はありません。


この数字が語らないこと

「計画名に『既存』と書くと不利になる」「『導入』と書けば通りやすい」。どちらも、この集計からは言えません。

  • 分母がない:採択結果ページにあるのは、回ごとの申請数と採択数まで。採択されなかった計画の名称は公開されておらず、ある語を含む計画がどれだけ応募されたのかが分からない。語ごとの採択率は出せない
  • 題名は中身ではない:計画名は申請者が付けた短い題名。新規設備の計画なのか、既存設備を活かす計画なのかは、題名からは確定できない
  • 製造業に絞った数字ではない:一覧に業種の列がなく、建設、農業、医療、サービスを含む全業種が対象。第6回の結果概要PDFでは、「主たる事業の業種」で集計した採択件数の割合が製造業51.4%、建設業14.6%(N=1,176)
  • 行の合計である:6回の累計は行単位。同じ法人番号が複数の回に載っている事業者が32あり(64行)、それぞれの回で1行ずつ数えている。法人番号の記載がない行は296行
  • 比率や順位は出していない:記録したのは件数と、その集計単位の採択行数まで
  • 公式の二つの文書が合わない箇所がある:都道府県別の件数が一覧PDFと結果概要PDFで一致しない箇所が、第4回から第6回に9か所あった(例:第4回の東京都は一覧143行、概要145件)。原因は確認できていない。本稿は一覧PDFの記載に従った。九州7県と熊本県は6回とも一致している

0件という結果は、探したが無かったという記録です。それ以上の意味を足すと、数字が言っていないことを言わせることになる。題名に「既存」と書くか外すかの答えも、この集計にはありません。「この語を入れれば通る」という助言を聞いたら、分母を尋ねてみてください。


10月16日17:00までに、採択一覧を自社の計画名の横に置く

第8回(一般型)の公募締切は2026年10月16日(金)17:00。一覧を開くのは、計画名を採択例に寄せるためではありません。自社の一行が社外の人にどう読まれるかを確かめるためです。

  • 申請を担当する人は、一覧PDFを6回分開き、自県の行を拾う:都道府県名で検索すれば足りる。熊本県なら6回で107行。業種の列はないため、同業かどうかは題名と事業者名から読み取る
  • 続けて、自社の計画名の案を横に置く:何を入れ、どの工程が、どう変わるのか。その一行を初めて読む人に伝わるかを見る
  • 生産技術の担当者は、設備の内訳を一枚にして申請担当に渡す:今回の計画で新しく入れるものと、今ある設備のまま使うものを分けて書く。題名の一行には今ある設備がほとんど出てこないので、その説明は計画書の本文と構成図が受け持つ。線の引き方は公募要領を読んだ前回の記事で扱った

計画名は一行しかありません。採択一覧の7,684行で目立ったのは、入れるものと得たい結果を書いた題名でした。今ある装置を活かす計画がその中にどれだけあるのかは、題名の向こう側にあって数えられない。第7回の採択発表は2026年11月中旬の予定です。一覧が公開されれば、同じ辞書で数え直せます。


参考資料

T&C

techandchips

techandchipsは、今ある装置とシステムを活かす工場自動化で熊本半導体クラスターの製造業を支えています。装置・システム連携(EAP/MES)、見える化・予知保全、トレーサビリティ、AI文書自動化まで一貫して対応します。

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